文化の多様性

土曜日、私は日仏教育学会のお招きで、早稲田大学にて講演をさせていただきました。

依頼されたテーマは「文化の多様性とグローバリゼーション:フランスがとるべき政策は?」でした。私は、グローバル化はあらゆる文化とあらゆる考え方に、素晴らしい発信の機会を与えているが、その一方で異なる文化間の共存がより難しくなっていることも事実である、とお話ししました。地理的な国境がなくなっても、文化の国境はなくなりません。むしろより強固になることもあります。それは経験からも明らかです。アクセスしやすくなったからといって、理解しやすくなったわけではないのです。

さらに、グローバル化はコミュニケーション手段を豊富に有している国の文化や情報に優位に働き、コンテンツや言語の画一化へと向かわせることも、経験から言えることです。

こうした状況に直面し、フランスは、文化の多様性と文化間の対話を推進する政策をとっています。

文書レベルにおいては欧州の「国境なきテレビ・ガイドライン」やユネスコにて採択された文化多様性に関する条約案の発端となりました。いずれも、各国が自国のクリエーションを支援する権利を擁護するだけでなく、文化間の対話と、他の文化に対してオープンであることを推進するためのものです。

フランスは、国内においても、文化の多様性を推進する政策をとっています。アート・クリエーションへの支援、フランス語の普及、フランス語のデジタル蔵書データベースの製作(7万冊分が既にデジタル化されているガリカ・プロジェクト)、国際ニュース専門のフランスのテレビ局創設プロジェクト、などです。フランスはまた、南の国々が自国の文化を発信する支援もしています。さらに、フランスの大学システムがより外国に開けたものにするべく、適応させるよう試みています。

以上のような政策を取るフランスの目標は、それぞれの文化が独自に表現している普遍的な価値を忠実に守りつつ、異なるアイデンティティー間の対話を促し、尊重していくことです。これこそが、私たちにとってはグローバル化の成功への鍵なのです。

駐日フランス大使
ベルナール・ド・モンフェラン