欧州のためのフランスとしての取り組み


フランスで数週間の休暇を過ごした後、シラク大統領、ド・ビルパン首相、ドゥ―スト・ブラジ外相の話を聞く機会となった大使会議に一週間にわたって出席しました。

そこではテーマの一つとして欧州構築が取り上げられました。その中のいくつかの点について触れておきましょう。

― 危機が発生した場合、それを直視して分析する勇気が必要です。先のフランスとオランダの国民投票の結果は世論の期待が何であるのかを明らかにし、それらに耳を傾けて考慮して行かなければならないと示唆しています。真の民主主義的な議論を繰り広げる中で、新たな流れが作り出せるでしょう。フランス政府は、今まで以上に説明するよう心がけると同時に、国内の国会の関与を強めて行きます。それはフランス国民が欧州を否定しているのではなく、わかり易くてより効率的なものを望んでいるからです。

― 国民投票での「ノー」は決定的なものではありません。反対に欧州に対する関与を強めたいと思わせるものです。こうした意志を明確にするべく、フランスは「プロジェクトによる欧州」という試みに取り組む事とし、欧州構築の利点の具体的な「証」にしようとするものです。幾つかの例をあげますと、ヨーロッパの経済ガバナンスの改善、テロや大犯罪に対する警察の協力の強化、そして人道主義的犯罪に対する欧州としての効率アップを目指した文民による組織の結成等があります。こうした具体的なイニシアティーブは全ての国際犯罪の追跡に平行するものでなければなりません。多くの国民が、世界の安定のために、ヨーロッパ市民がもっと積極的であるべきだと望んでいます。

― 欠点はあるものの、欧州は和解と成功した地域統合の類まれな証となりました。同時に、多様性の尊重と多国間のための取り組みの可能な選ばれた場所であると申せましょう。これは、今日の世界が必要としている価値観です。


これらの理由を鑑みて、フランスはこれからも欧州構築の中心的な原動力であり続けたいと思うのです。


駐日フランス大使
ベルナール・ド・モンフェラン