フランス人は相撲好き

昨日、偉大な力士として相撲史に名前を記した二子山親方の告別式に参列しました。そこで、貴乃花親方にシラク大統領からの哀悼の意を伝えてまいりました。5月場所の千秋楽の日には部屋の打ち上げに参加して、乾杯の際にご挨拶をさせていただきました。3月末にはシラク大統領と大阪場所を観戦し、上位力士や日本相撲協会の関係者と夕食をご一緒しました。また、毎相撲場所の千秋楽にはシラク大統領杯を優勝力士に授与しています。2年半前、日本に着任するまではあまり親しみのなかった相撲が今ではとても近い存在に感じられます。

時折、日本の友人からなぜフランス人はこれほどまでに相撲に魅力を感じているのかと聞かれます。答えは簡単です。フランス人は、世界でも類を見ない相撲という競技の中に、強い日本のアイデンティティを感じ取っているのでしょう。また、見事なまでの集中力に惹かれるのです。あのような大きな身体がぶつかり合うのに、そこには憎しみも暴力も発生しないのは素晴らしいことです。少しでも力士の方々と親しくなると、いかに彼らが素朴で、部屋に愛着を感じ、師匠を尊敬しているのかが伝わってまいります。相撲はスポーツでありながら文化であり、たとえ奥義の全てが理解できなくても、フランス人は強い好感を感じているのです。



駐日フランス大使
ベルナール・ド・モンフェラン