ファッションと私達

昨日、1981年から継続してパリでコレクションを発表しているデザイナーの山本耀司さんにフランスの権威ある勲章をお渡ししました。それまでにも森英恵さん、高田賢三さん、そして三宅一生さんなどがコレクションを発表していましたが、いずれもフランスのメゾンとしての参加でした。ところが山本耀司さんは純然たる日本のクリエーターとして自らの作品を紹介しました。当初、そのコレクションは人々に深い衝撃を与え、次に若い世代を魅了しました。つまり、機能的で、無構造のようでありながらも正確なラインで裁断され、エッセンシャルな黒と白を使用することで冷たい雰囲気ながら、強い色をほんの少しアクセントにしている部分が彼らのイメージと一致したのでしょう。同時に「正装」と普段着の境を取り払ったファッションです。

叙勲式の席で偉大なデザイナーは社会に語りかけ、表現するのだと強調しました。フランスの若者は、山本耀司さんがいなければ、これほどまでに今の日本を理解できなかったでしょう。

駐日フランス大使
ベルナール・ド・モンエラン