ヨーロッパは立ち止まらない

全ての普通選挙は国民のメッセージを発信する手段であって、それは聞き入れられなければなりません。そこで、日曜日に行われた国民投票の結果には複数の意味があるように思われます。

  • この結果を受けて、欧州構築が終了するのではありません。シラク大統領が明言しているように、ヨーロッパは既存のルールでこれからも機能して行きます。前進はしなくても後退はしません。
  • 今回の投票はヨーロッパに対してというよりもは、欧州構築のペースに対するものです。ある国にとっては早すぎても、他の国には遅すぎるように感じられものです。これは、世論と10年前から欧州に一つの方向性を持たせようとしている人々との間に生じた、温度差が示されたのだと思います。
  • 今回の投票はヨーロッパに対する不満ではなく、景気に対して多くのフランス人が感じている不安の現れでしょう。国際競争が高まるにつれて、雇用が脅かされ、若い世代の就職活動に影響するのではないかと案じているのです。


フランスで行われている大議論が、最終的には欧州構築を強化するであろうと、私は確信しています。それはなぜか?それは誰もが国民投票を通して、より多くの情報を収集し、今まで以上にヨーロッパ問題に関して明確な判断力を身につける事ができたからです。これが民主主義の利点であり、こうした議論を繰り返しながらヨーロッパの土台を確立して行くのです。次に妥協点を見出さなければなりません。ヨーロッパでは、このようなペースで物事を進めるようになって、かれこれ50年近くになります。




駐日フランス大使
ベルナール・ド・モンフェラン