なぜフランスには「ベールの着用」に関する法律があるのか


先週の金曜日に、九州の別府市内の立命館アジア太平洋大学別府大学で講演を行うという機会に恵まれました。いずれの大学も外国からの留学生を沢山受け入れており、古くからアジアや諸外国に目を向けている九州という場所を象徴しているように思いました。また、両校ともフランスの大学と提携を結んでいます。

そこで行われた若い学生との意見交換は大変に有意義なものでした。ヨーロッパ、東アジア地域での隣国との関係から、もっと一般的な事柄まで、色々と見解を述べ合いました。若いマレーシアの女子学生から「フランスではなぜ、法律によって、ベールの着用が禁じられていのか」という質問がありました。そこでフランスとしての「政教分離」について説明を試みました。誰にでも信仰の自由があるのと同様に、フランス国家は全ての宗教と分離しており、いかなる宗教も他の宗教の妨げにならないように監視する役割を有しています。しかも、フランスは人権に関してとても厳しい概念を持つ国です。国民が持ちうる権利というのは肌の色、宗教、文化的なルーツや言語などの異なったものによるのではなく、普遍的な人間-国民として得るものです。
このような概念があるからこそ、宗教色を明らかにする物を学校で生徒に着用させてはならないのです。多くの人間は例外を認められると、特定の宗教の信者の女性には別にプールや体育館を設けなければならないというような、共和制のルールでは受け入れられない要求をする恐れがあるからです。
それぞれの学校で話し合いが行われた結果、この法律は大きな問題が生じることなく、執行され実行されています。フランスではイスラム教は第二の宗教であり、平静に信仰されています。

ベルナール・ド・モンフェラン